リフォームに関する法規制
リフォームの際にも建築関係の法律は適用されますので、ご注意ください。
●用途地域を確認しよう
まず、「用途地域」についてご説明します。
用途地域とは文字通り、どんな用途に(建物が)使用される土地なのか、という区分けのことです。
全部で12種類ありますが、リフォームを考えている皆さんが住んでいるエリアは「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」のいずれかと思われます。
ご自身の住居がどれに当てはまるか気になる方は「〇〇市 用途区域」などと検索して調べてみましょう。
用途地域の中で、最も制限が厳しいのが第一種低層住居専用地域です。
ここは、建築物の高さが10mもしくは12mに制限され、建てられる建築物の種類は、戸建て、マンションの他、学校、幼稚園~高等学校、図書館、保育所など健全なものに限られます。高層マンションや娯楽施設などを建てることはできません。
第二種低層住居専用地域では、一種に加えて、小さめの店舗や飲食店(店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が150㎡以内のもの)が許可されます。
第一種中高層住居専用地域は、第一種低層住居専用地域に高さが加えられる。第二種中高層住居専用地域では、それに加えて小さめの店舗や飲食店が許可されます。
このようにそれぞれの地域ごとに取り決めがあり、建築における法規制も変わってきます。
※高さ10m~12mは、低いイメージを持たれるかもしれませんが、3~4階のマンションなら大抵収まる高さです。
●建ぺい率と容積率
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(その建築物の1階部分の面積)のことです。
(建築面積 ÷ 敷地面積)× 100 で算出され、用途地域ごとに超えてはいけない基準値が定められています。
容積率は、敷地面積に対する延べ床面積のことです。
(延べ床面積 ÷ 敷地面積)× 100 で算出され、こちらも用途地域ごとに値の制限があります。
例えば、第一種低層住居専用地域では、建ぺい率は30~60%、容積率は50~200%となっています。
※地域により異なる。
●高さ制限
最初にご説明しましたが、第一種・第二種低層住居専用地域では10mもしくは12mに制限されています。
増築して3階建てにする場合は注意しましょう。
●道路斜線制限
ご自身の所有する敷地に面している道路の反対側の境界線から、幅1mにつき1.25(住宅)、もしくは1.5m(商業施設)高くなる斜線内に、建物を収めなくてはいけません。
●北側斜線制限
こちらは建物の南側の陽当たりを確保するためにつくられた法律です。
計算方法は道路斜線制限と似ており、北側の敷地境界線上の高さ5m(第一種・第二種低層住居専用地域)、もしくは10m(第一種・第二種中高層住居専用地域)の地点から、幅1mにつき1.25m高くなる斜面内に建物を収めなくてはいけません。
このようにすることで、建物の北側部分が削られるわけですが、もしこの規制がなかったらどうなるでしょうか?
陽当たりが良いのは南側ですので、多くの方は庭など広いスペースを南側にとり、逆に敷地内の北側ギリギリに建物を建てようとします。
そうなっていた場合、北側に隣接する家の南側に全く斜面のない部分がきてしまい、隣家の南側の日照が確保されなくなってしまうのです。
●建築確認申請
新築、もしくは増築・改築を行う際、その建築物が建築基準法などの法律に適合しているか、各自治体に申請することを「建築確認申請」といいます。
リフォームの場合、この申請は必須ではありませんが、以下の場合は必要となります。
- ・10㎡以上の増築、改築を行う場合
- ・建築物が防火、準防火地域にある場合は規模を問わず申請が必要で、建物や外壁にそれぞれの基準を満たす不燃材の仕様が求められる
- ・大規模な修繕・模様替え(主要構造部の過半)を行う場合
また、確認申請した場合には以下の条件を満たしているか、違反していないかチェックされます。
※もちろん確認申請が不要な場合でも、これらに違反してはいけません。
- ・採光、換気のため、条件によっては、居室に定められた割合以上の窓を設置する必要がある
- ・シックハウス対策として、ホルムアルデヒドを発散する建材は、その発散速度(放射量)に応じて仕様面積が制限される
- ・10㎡以上の増築を行う場合に限り、24時間換気システムの導入が必要となる
- ・消火器や火災警報装置の設置等を定めた消防法に違反していないか
他にも、民法で「隣の境界線から50cm以上離さなくてはいけない」、「隣の境界線から1m未満に他人の宅地を見通すことのできる窓や縁側がある場合は、目隠しを付けなければならない」という決まりもあるので、それにも従う必要があります。
工事が終わった後に「条件を満たしていなかった」といった事態が起きないように、事前に市役所や加盟店に確認しておきましょう。